マーケティング

経営者だけど相手に主導権があるビジネスはブラックです

こんにちは、澤井です。

「〇〇の価格が高騰している!」

この手のニュースを見るたびに
こなもの屋をやっていた時代のことを思い出します。

たこ焼きやからスタートして、お好み焼きやら焼きそばも売り、
冷凍食品の通販なんかもやってました。

25年ほどでやめたのですが、原材料の値上がりにホント苦しめられました。

お好み焼きのメインとなるキャベツは、
安い時期はひと玉100円以下で仕入れることができます。

しかも、新鮮でみが詰まってみずみずしくていかにも「うまそう!」
と感じるええキャベツ(高品質)を安価で仕入れることができました。

が、高い時期はひと玉500円とか600円なんてこともありました。

一枚380円でお好み焼きを売っていたので「おいおい、完全に赤字ですやんか!」
と思いながらも、清水の舞台から飛び降りる気持ちで仕入れしてました。

しかもです。高いくせに品質も悪いんですわ。

キャベツを買ったことある人は知ってると思いますが、いいキャベツは
手にとってズッシリとした重みがあります。どうしてかというと、
それだけみが詰まっている。ってことだから。

けど、価格はかなりご立派なのに、カッスカスでしなしなで、
ちょっと枯れてたりして、もーねぇ最悪なんですわ。

あと、そろそろ出てくるのですが、春キャベツの時期にも泣かされました。

春キャベツの一般的な認識って、この時期にしか食べれない、葉が柔らかくて
甘くて美味しいキャベツなのですが、、、

お好み焼きには、相性が悪いんですねー。

どうしてかというと、みずみずしすぎるんです。

つまり、水分が多すぎる。ってこと。

だから、ベチャーっとしたお好み焼きになるんですわ。

生地の濃度を濃くしたりして調整はするのですが、理想には程遠いレベルの
クオリティの商品をがまんして売ってました。

あと、タコの価格も25年の間にかなり上昇しました。

ぼくがたこ焼きやをはじめた、平成元年頃は1キロ750円ほどで仕入れてました。

ですが、25年後は1キロ1800円まで上昇していました。
(それでも、たぶん、他よりもだいぶ安く仕入れできてました)

まぁ倍以上ですわ。だからと言って、たこ焼きの価格も倍になったのか?
といえば、そんな事はありませんでした。

創業当初は14個300円でしたが、最終的に8個350円で売ってました。
(当時、安くていいものを!というアホなマインドだったので値上げできませんでした)

で、たこ焼きで使うタコはモロッコ産が一番美味しいのです。

だから、モロッコ産を仕入れていたのですが、一時期モロッコ産の
タコが輸入中止。ということがあり泣く泣く中国産を使う、
ってこともありました。

なぜ中止になったのか?というと、

マグロと同じで、ものすごくタコの取れる量が減ったからです。

だから、一時的に禁漁されたのです。

じゃぁ、なんで減ったのかというと、

ラニーニャ現象が影響してるんです。

ラニーニャ現象の影響で海水の温度が下がりプランクトンが減った。

なので、そのプランクトンを餌にしているエビや小魚が減った。

だから、そのエビや小魚を餌にしているタコさんも減ったんだ。

と、業者さんに教わりました。(ちがってたらごめんなさい)

リアル食物連鎖、理科の授業で習いましたよね。

ちなみに、タコの価格がこれだけ上がった理由のひとつに
面白いエピソードがあるのでシェアしときます。

日本人は世界で一番タコ好きな民族ですが、ヨーロッパや欧米ではタコのことを
海の悪魔といって、ほとんどの人が食べなかったんです。

が、ある出来事をきっかけにタコを食べるようになったんです。

そのある出来事とは?

狂牛病です。いっとき世界中でニュースになったの覚えてますか?

牛さんの脳みそがスポンジのようにスカスカになって、足がガクガクして
歩けなくなっちゃう。という怖い病気です。

その影響で、牛の流通量がものすごく少なくなったし、食べるのを控える人も
続出しました。

だから、牛食えないからなんか他に食べれるものないかなぁ、とヨーロッパや
欧米の人たちが考えて、

なぜか海の悪魔と呼ばれていたタコさんに白羽の矢が立ったのです。
(肉系は、なんだか危険で怖そうなのでシーフードに消費者が注目した)

それと、中国の人たちも食べるようになりました。

このように、需要が一気に増えたことで希少性がまし価格上昇に至ったのです。

あと、たこ焼きの中に入れる「天かす」にも泣かされました。

地域によっては「あげたま」と呼んだりもしますが、じつは天かすって
たこ焼きの味をものすごく左右する重要な材料なのです。

ダシの効いた生地に、美味しいタコのぶつ切りを入れて、さらに上質の天かす
を入れてそれぞれの旨味がミックスされて焼きあがったたこ焼きは、
めちゃくちゃうまいんです。

天かすはスーパーに行くと、イカ入りとかエビ入りとか、ただの真っ白いの
など数種類置いてあると思います。

で、一般消費者向けから業務用まで無数にある天かすの中でも、
ぼくのお店では、ほとんど世に出回っていない「伝説のオヤジ」
がつくる幻の天かすを使っていたのです。

企業秘密だからかどーだかはしりませんが、成分表などが一切書かれていない
ただの透明のビニールに詰め込まれた状態で仕入れていました。

あの天かすは、本当にうまかった。

のですが、、伝説のオヤジも年には勝てません。

ある時、引退してしまったのです。

で、後継者がいなかったので本当の幻になってしまったのです。

その後、代替え品を見つけるのにめちゃくちゃ苦労しましたよ。

あちこに走り回って、数え切れないくらいの天かすを食べ比べました。

通販でみっけたのも全部買いました。

で、その中で一番マシだよな、と感じた天かすをその後は使ってました。

あとねー、小麦粉とかソースなど、
すべての原料が段階的に値上がりを繰り返しましたよ。

消費税が上がったら直撃するのは当然として、

たとえば、小麦粉の原料である小麦じたいの価格が上がっても
仕入れ価格は上がります。

それとは別に、原油価格の上昇で小麦粉を入れるためのパッケージに使っている
素材の価格が上昇したから、連鎖的に値上がる。
(ソースなど、容器のある商品全て連鎖的に上がりました。)

または、海外から輸入する際、原料を何百トンと運ぶタンカーの燃料費が上がったから
値上げする。と言われたこともありました。

このようなこと、が、何度もありました。

んでね、ぼく自身がやってた頃は、この状態って自分だけではないし、
みんなが苦しんでいるんだからビジネスとして当たり前のことだ。

と考えていたんです。

が、いろいろなことを勉強したり、業界以外の人たちと知り合ったり世界を見ることで
めちゃくちゃブラックなビジネスをやっていたんだなー。

と痛感したのです。

だってさ、自分がいくらがんばってもどうすることもできないこと。

が理由でビジネスに大きな影響を受けるビジネスモデルだから。

原料の値上げもそうだし、天候や季節もそうだし、景気もそうだし、
風評被害なんてのもそう。

経営者なのに、自分ではコントロール不能で、まわりからの影響を受けまくり。

だから、「もし〇〇が、〇〇になってしまったらどうしよう?」

なんて、まだ起こってもいないのに、勝手にネガティブな未来を妄想して
ビクビクしながら商売をやっていました。

そもそも、商売は先が見えないので不安なのは当たり前なのですが、

自分とはまったく関係のない外的要因によって
影響を受けるビジネスは、ホントしんどいです。

たとえば、

ある日突然、タコの中に含まれているほにゃららという成分を摂取すると、
がんのリスクが高くなる。

なんて、ニュースが流れた日にゃぁあんた、秒速で倒産です。

ひと昔前に、カイワレにO-157の菌が含まれている。とマスゴミが騒ぎ立てて
カイワレ業者の社長さんが命を落としてしまった。

なんて悲しいニュースがありました。

何年間もがんばってきたのに、ふってわいた、たった一つの外的要因で
人生狂わされちゃった人ってごまんとおられますもん。

だからこそ、

自分がガッチリと主導権をにぎるビジネスをすること。

というなインドセットが、ものすごく重要です。

ではまた。^^

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